前に住んでいたところ その② キノコ採りの話2009年08月27日

むらさきしめじ
 昨日も書きましたが、前に住んでいたところは山菜、キノコの宝庫でした。仕事が忙しくてほとんど川にも行かれませんでしたけれど、岩魚、山女の有名河川もすぐそばを流れていました。 
 この時期になると、キノコ採りのことを思い出します。冷涼なかの地では、住んでいた家の裏山などで、夏の初めにタマゴダケという傘の真っ赤なキノコが出ます。妖精の森などでよく描かれるベニテングタケと同じテングダケの仲間(このテングダケの仲間は毒キノコが多く、注意が必要です。一本食べたら絶対助からない猛毒のキノコもあります。)のキノコで、良い出汁の出るうまいキノコです。醤油の付け焼きにするのが一番ですが、炒めてよし、煮込んで良し、どうやってもうまいキノコです。派手な色のキノコは食べられないというイメージがあるのか、あまり食べる人はいませんでしたが、私などはむしろ間違えようのないキノコとして重宝していました。欠点は腐ると強烈に臭うことでしょうか。
 秋雨の頃になると、イグチの仲間が出ます。ヌメリイグチ、シロイグチ、アミタケ、チチタケ等々・・・。イグチの仲間は裏側がスポンジ状になっているのが特徴で、この仲間は毒キノコが少ないことで知られます。ついこの間までイグチの仲間には毒はないといわれていましたが、ドクヤマドリというヤマドリタケに似た毒キノコが見つかったことでイグチ無毒神話は崩れてしまいました。
 ついでに、キノコ図鑑には必ず書いてある毒キノコの見分け方、対処法の迷信をいくつか書いておきましょう。以下に書くのはすべて間違いですからお間違えのないように。

 ①縦に裂けるキノコは食べられる。 
                 → 嘘です。縦に裂ける毒キノコはあります。
 ②虫食いのあるキノコは食べられる。
               → 嘘です。猛毒キノコにも虫食いはあります。
 ③ナスや銀のスプーンと一緒に茹でると毒キノコでも食べられる。
               → 嘘です。そんなことで毒は絶対消えません。
 ④ちょっと齧ってみて苦ければ毒。
  → これはちょっと説明が要ります。これはクリタケ(食用菌)とニガク  リタケ(毒)を見分けるときには正しい方法です。しかし、だからとい   って齧って苦くなければどんなキノコでも食べられるという勘違いを   絶対にしないように。あくまでニガクリタケの見分け方です。

結局食べられるキノコを一つ一つ地道に覚えるしかありません。どんなに食べられそう、うまそうでも、絶対の自信がなければあきらめることが肝要です。これが出来なければキノコ採りに手を出してはいけません。キノコの毒を甘く見てはいけません。先ほども書きましたが、食べたら現代医学をもってしても神に祈るよりほかない(で、祈ってもまず祈りは通じない)キノコがその辺にニョキニョキ生えています。だから、キノコ採りの際は食菌と毒キノコが絶対に混ざらないように、たとえそれが崩れたほんの一部でも、菌によっては致死量に至ることがありますので、その点は注意して欲しいと思います。
 毒キノコの話がだいぶ長くなりましたので、最後に毒キノコと間違えることがほとんどないキノコを一種類紹介して今日は終わりたいと思います。初心者でも安心して採れる優良な食菌のひとつ、ムラサキシメジです。その名のごとく紫色をしたこの美しいキノコは、秋ももう終わり、霜が降りて冬になるかなぁくらいの頃に出ます。この頃になるともうきのこもあまりなく、似ているのはやや小ぶりのヒメムラサキシメジ(これも食菌) くらいですから、安心して採って食べてください。煮物やうどんの具、茹でて大根おろしで食べたりするのが定番です。
 キノコ採りするようになると野外活動の幅がものすごく広がりますので、(出来れば最初のうちは経験者の教わって)始めてみてはいかがでしょうか。奥が深くて面白いですよ。