マゼのはなし2011年07月15日

毎日同じことばかり言ってる気がしますが、四万十は今日も暑い一日でした。

今日のこと、農業を教えてくれているおんちゃんが、
「 おお、マゼが吹き出したねぇ。 」
と言いました。「マゼ」?見覚えのある言葉です。

この言葉、柳田國男先生が著書『風位考』のなかで、「ヤマセ」に続けて2番目に取り上げている風の名前です。この風の名前は、四国一円とその対岸、東は伊豆半島までの太平洋岸、それと大分の臼杵、で聞かれる風の名だそうです。
基本的に南から吹く風で、同じく南風を意味する「ハエ」との違いはどこにあるのかに柳田は注目しました。

 そこで考えられるのは、同じく南なり西南なりの風でも、なお二つ以上の語を
 設けて差別しなければならぬ必要が、しばしば海上生活者にはあったので
 はないかということである。例えば季節や強弱の違い、また持続性も同じで
 ない南の風を、引きくるめてハエと呼んでいては、これによって話を進め、
 あらかじめ計画を立ててこれを利用し、もしくはぞの害を避けることができ
 なかったゆえに、次々に名称の分化が行われてきたのではなかったか。
   ー   中略   ー
 マジまたはマゼという風は、だいたいにおいては好い風として知られているら
 しい。・・・・・・これがハエという語の古く存したにもかかわらず、別に今ひとつ
 の同じ方角を意味する語を、入用とした理由ではなかったろうか。
                                    (『風位考』)

ここ、四万十でもマゼは好い風です。マゼは晴天にしか吹かない巽(南東)からの風で、マゼの吹き始めをマゼオコシと言いますが、このマゼオコシが遅いほど天気は安定するんだそうです。今日のマゼオコシは10時前後でしたが、これは早い方。天気が下り坂です。これが昼くらいだと好天が続きます。

「マゼオコシには必ず魚が食うけん、どればぁ釣れんでもマゼオコシまでは釣らないかんいうもんじゃ。」
とは漁師でもあるおんちゃんの言葉。漁を呼ぶ風・・・。やっぱり好い風みたい。


7月15日 今日の稲株
7/15 今日の稲株
今日で植えてからちょうどひと月。