田を這う2011年07月12日

仕事から帰ったらまず田圃の水の見回りをします。
うちが借りている田圃の一枚は、隣というか向かいのNさんちの横にあります。
ここはムラの目抜き通りに面していて、先日の弊ブログでご紹介した、Mさんが風鈴を付けたバス停のすぐ裏にあります。すごく目立つところにあるんです。
ここでちょっと作業していると、ムラのみんなに見つかります。
夕方は帰宅途中の皆さんが手を挙げながら帰っていきます。
私も手を挙げて応えます。

この田圃が、一番草が生えました。同じくこの道沿いながら、一段下がっているために全然目立たない向かいの田圃は抑草に成功したというのに・・・。

あんまりなので、今日、意を決して這うことにしました。

ちょうどバス停にはおばちゃんが腰掛けて世間話をしています。
 「 なかなかように育ったねぇ。 」
 「 うん、草のが育ってしもうたけんどねぇ。 」
と言うと、おばちゃんたちは笑って、
 「 草が生えんような田はイカンって、昔から言うぜ。 」
と慰めてくれます。先日も別のおばちゃんに同じ言葉で慰められました。
と、そこへ田を何町も作っているベテラン農家のEさんがやって来ました。Nさんのところに用があるようです。
 「 やりゆうかよ。 」
 訳:幡多弁におけるおんちゃんたちの「こんにちは」。
 英訳すると「What's up?」とか「How are you doing?」くらいの感じ
 「 ええ、草にやられてます。 」
と言うと笑って、Eさんも、同じ言葉で慰めてくれました。

とそこへ、今度はNさんちのアメリカンショートヘアー、マルが登場。じゃれつきます。すぐその後からNさんの奧さんのMさんが出てきて、
 「 その草、なんて草? 」
などと、冗談か本気か分からないことを言います。だってN家も米を作ってますし、ましてやMさんの実家も無農薬でお米を作っていて、我が家はそこからお米を譲ってもらってるんですから。

そこからしばらく世間話。
 「こないだマルが死によったぜ~。」
(移住して最初にこの表現に出くわした時、何を言っているのか分かりませんでした。「死にそうになった」、の意。)
 「どうもクチメかムカデに噛まれたにかわらん。尻尾があがらんもん。」
見ると確かにマルの尻尾がピンとしません。一昨年シマヘビにじゃれついて威嚇され、スゴスゴと退散したマルですが、この頃えらくなって、無茶をするようになりました。家でも、先に飼われていたテン(白黒の猫・♂)の座を奪って、夜は家に入れてくれないんだとか。
 「おかげでテンが3日ばかりは家で寝られたけどね。」
頑張れ、テン。

そのほかにも、Nさんの娘さんが夜中に
  チ~~ン 
という鈴の音を聞いて怖かった話しとか、いろいろ話して家に入りました。この音、もちろんバス停の風鈴の音です。風鈴がついたことを知らなかったために起きたハプニング。

Mさんが家に入ったと思ったら、今度はご主人のNさんがウナギの見回りから帰ってきました。この時間、Nさんは毎日、ダッコ(訳:ウエットスーツ)姿でスクーターに乗ってまいまいしより(訳:あっち行ったりこっち行ったりすること)ます。私がコナギを浮かしているのを見て、
「それでその草枯れるかえ?」
「おばちゃんたちはいける(訳:埋める)って言いますけど、ようやらんですもん。」
と答えると、
「ほいたら、隣の田圃に投げ込んだらええ。」
と、隣の大家さんちの田圃を指さします。バイオテロですやんか。

Nさんは最後に
「ぼつぼつ捕れちょうけんね、今度食わすけん。」
と言って家に入りました。
待ってました、その一言。

7月12日 今日の稲株
7/12 今日の稲株
茎数8本