玉虫色2010年07月04日

 今日の昼間、子供たちと庭で遊んでいて、こんなものを見付けました。
玉虫2
写真中央少し右下にいます。見えますか?

もうちょっと寄った写真。
玉虫3
ヤマトタマムシです。久しぶりに見ました。せっかくなので捕まえて子供たちと観察会(下の写真をクリックすると拡大します)。
玉虫4
きれいな色ですね。古来、玉虫は吉祥の虫とされ、特に女性が白粉の箱に入れたり、「着物が増える」といってタンスの中に入れておいたりしました。鴨長明著ともいわれる(おそらく違いますが)『四季物語』という本の中では、

・・・又なりはうつくしう玉むしなどいひていみじけれど。きりぎりす。はたおり。かうろきにさへをとりて。声たてぬもあれど。此むしはやむごとなきさちあるものにて。宮のざうしきにて何くれの御つぼねにも。御くしげの中。はくふん(白紛)のなかにまろびて。かうは人をさへ野へにふてためるならひなるに。十とせ。はたとせの後までも。御ものの中につつませ給ふ事よ。・・・

と、人でさえ野辺に捨てられる世の中で、死後十年二十年、物に包まれる「やむごとなきさちあるもの」だと書いています。

 玉虫といえば、世界遺産、法隆寺にある玉虫厨子が有名です。山田保治さんによると、これを作るのに要した玉虫の羽は9083枚、4542匹分だそうです。この辺までは日本史で習ったかもしれませんが、法隆寺にもう一つ、玉虫の羽を装飾に用いたものがあるのは案外知られていません。それは金堂にある多聞天の持つ、戟(げき)。玉虫を装飾に用いるのは中国には例がなく、朝鮮半島からの影響らしいです。

  玉虫の 光残して 飛びにけり   虚子