土用丑の日に備えて2009年07月14日

ガニクイとオオウナギ
 四万十はすでに梅雨明けした空です。気象庁がどう言っているかは知りませんが。昨日までの蒸し暑い空気と、気温こそ高いものの乾いた今日の空気とは明らかに違います。朝から庭と畑の草取りです。
 と、そこへいつも通りYさんがやって来て、周りの田んぼの草刈りを始めました。休憩の時間はうちの長男坊の守をしてくれています。びったれの長男はYさんにべったりで、ずっと遊んでもらっています。
 Yさんは、やがて草むしりをしている私の所にきて、「ミミズおったらちょうだいや。」といいます。続けて、「丑の日に備えてウナギ獲ってくるけん、ミミズとウナギと交換しようや。」、と訳の分からないことを言います。どこの世界にウナギとミミズを交換してくれる奇特な人がいるんでしょうか。ところが、この集落にはいるんです。夕方になって、Yさんは本当にウナギを二匹持って現れました。ひご釣りと言って、竹ひごの先にミミズを付けた針を結び、ウナギの潜む穴に差し込んで釣る釣り方をしてきたらしいのですが、「ミミズ三匹もらったけん、三匹と思ったがやけんど、どうしても一匹釣れんかった奴がおる。」と言います。どこまで本気なのか分かりません。生きがよくてあまり上手くいかなかったのですが、黄色っぽく写っている太いのが今日釣った二匹です。
 四万十水系には、一口にウナギといっても、実は三種類のウナギがいます。一つは四万十川ではリンズと呼ぶ、腹が黄色いウナギ。因みに「ウナギ」という名は、胸(=腹)が黄色いという意味の「ムナギ(胸黄)」から来ているといわれています。二つ目が、腹は白く、リンズよりもエラが張った感じの顔をしたガニクイと呼ばれるもの。そして三つ目が体長一メートル以上になるオオウナギです。このウナギは全身が普通のウナギに較べて黄色っぽく、一寸見にはウツボのような肌をしているのが特徴です。今日Yさんが釣ってきたのは、実はこのオオウナギでした。味は、人によりいろいろ言いますが(基本的に皆自分の所で獲れるウナギが一番旨いという)、肉自体の味が濃く、美味いです。さすがに一メートル近くなると皮が固くなりますが、それでも決して大味ということはありません。むしろ普通のウナギより肉厚で、ウナギ好きには堪えられません。
 あー、早く丑の日が来ないかなぁ。長女は意味も分からずに呪文のように唱え続けています。
 丑の日(今年の一の丑は19日)まであと5日。待ち遠しいです。